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刑事事件 その10

先日終結した刑事事件を報告します。

被告人の公訴事実は、覚醒剤所持・使用です。
数年前に覚醒剤使用で執行猶予付き判決を受けたという前科があり、当初から、実刑の可能性が極めて高いと考えられました。

裁判において、検察官は、実刑にすべきである旨の厳しい主張を行いました。
当方は、本人の反省と家族の監督によって更生環境が整ったことから、再度の執行猶予(保護観察付)を求めました

遺憾ながら、判決では、前刑からの期間経過が短いことが重視され、被告人に有利な事情を考慮しても実刑やむなしとされました。
やはり、前科がある場合の薬物事件では、執行猶予はつかない傾向が認められます。
ただ、刑期は、検察官の求刑より半年程度短くなりました。

なお、前述のように実刑の見込みが高い事件でしたが、保釈請求は認められ、短い期間ではありますが、家族・友人と過ごすことはできました。


弁護士 北野 岳志

2024年02月10日

交通事故事件 その5

先日解決した交通事故事件を報告します。

本件では、相手方から打ち切り通知が来ており、当職からの延長要請にも応じませんでした。
打ち切り後の治療費を自己負担して後日争うことも含めて協議しましたが、強く争うつもりはないとの委任者意向を踏まえて、打ち切りまでの治療を前提とした示談交渉に移行しました。
この点につき、自己負担分の治療費等を自賠責保険に請求したり、裁判等で争ったりすることも可能であることを補足しておきます。

委任者が事業者であったことから、確定申告書等の資料を収集し、適正な休業損害と慰謝料を算定の上、相手方に請求しました。
内容・金額面で多少争うところはありましたが、最終的に話し合いによって合意に至り、早期解決となりました。

内容・金額面でこちらの条件を下げなかった場合、相手方が折れなければ、提訴等の法的措置をとるしかありませんが、相応の時間がかかります。
また、有力な証拠がない、従前の裁判例の傾向にそぐわない場合等は、当方の主張が認められる可能性は低くなります。
そのため、弁護士対応の事件でも、すべてが裁判となるわけではありませんし、交通事故事件に関しては、むしろ話し合い解決の方が多い印象です。


弁護士 北野 岳志

2023年12月25日

貸金返還請求事件 その1

貸金返還請求を受任しました。

受任後、速やかに相手方に受任通知を送付するとともに、返還を求めましたが、無反応でした。

そこで、訴状等必要書類を準備の上、貸金返還請求訴訟を提起したところ、相手方は代理人を立てて、分割弁済を求めてこられました。

分割の内容については、100%の満足を得られるものではありませんでしたが、依頼者及び相手方代理人と協議を重ね、最終的には裁判上の和解という形で終結させることができました。

もっとも、分割支払いの期間は長期にわたるため、本当の意味での終わりはまだ先です。
それまで、支払い状況は、当職が預り口座にて管理していく予定です。

弁護士 北野 岳志

2023年12月13日

削除請求事件 その1

インターネット記事の削除請求を受任しました。

依頼者は嫌疑不十分で不起訴となりましたが、逮捕のインターネット記事が未だ閲覧できる状態でした。

そこで、各社・サイトに対して、郵送・メールにて、削除請求を行い、大半の業者から自主的な削除をしていただきました。

逮捕された段階では、無罪推定の原則が働きます。
とはいえ、逮捕されたという事実だけで、実際にその人が犯罪を行ったと即断してしまう人が少なくありません。
そのため、逮捕のインターネット記事が閲覧可能のままにされると、それを見た第三者から有形無形の不利益を被ることが強く懸念されます。
このようなことから、(嫌疑不十分)不起訴ないし無罪となった後で、インターネット記事の削除請求を行う意義が認められます。

なお、自主的な削除に応じていただけない場合は、削除仮処分申立や発信者情報開示請求等を検討する必要があります。

弁護士 北野 岳志

2023年12月07日

刑事事件 その9

窃盗被疑・被告事件の弁護を担当しました。

被告人は、共犯者と複数の店舗で窃盗(万引き)をしており、被害額・被害品数は少なくありませんでした。
また、同種前科と異種前科があり、以前に執行猶予付き有罪判決を受けたこともありました。
そのため、何もしないままでは実刑の可能性もあると考えられました。

弁護活動としては、被害店舗への弁償を優先的に実施しました。
幸い、被告人は、一定の金員を持っていたほか、協力者もいたため、被害弁償に必要な金員を確保することができました。
被害店舗も応じていただけたため、判決までにすべての被害弁償を完了することができました。

裁判長からは、被告人に厳しい指摘がなされたものの、被害弁償を行ったこと等が評価され、執行猶予判決をいただくことができました

本件では、被害弁償のために、直接店舗を訪問しましたが、それによって証拠資料に記載されている犯行態様をより明確に理解することができました。
犯罪事実を争う事件ではありませんでしたが、現場を訪れることの重要性をあらためて認識することができました。

弁護士 北野 岳志

2023年11月29日

刑事事件 その8

傷害被疑事件の弁護を担当しました。

受任時点で被疑者は逮捕・勾留されており、早期の身体解放を求めておられました。

本件では、被害者と被疑者は近い関係で、被疑者の刑事処罰までは求めておられませんでした。
加えて、本件では、精力的に動いていただける親族の方、身体解放に協力していただける親族の方が複数いらっしゃいました。
そこで、その親族の方々と協議し、当職にて嘆願書や誓約書等を作成して、注意事項等を説明の上で関係各所への取り付けを依頼しました。
そして、書類取り付けが完了した翌日午前中に、勾留取消請求を行ったところ、夕方にこれを許可する決定が出され、身体解放を実現することができました

初回接見から身体解放までの期間は5日で、バタバタした面もありましたが、ご期待に応えることができて安堵の気持ちでいっぱいです。
起訴前勾留は、なかなか取消してくれないのが実態ですので・・・。

弁護士 北野 岳志

2023年11月11日

刑事事件 その7

性犯罪事件の被疑者弁護を担当しました。

被疑者は、当初から、一貫して被疑事実を否認していました。

また、被疑者の供述等から、状況的に客観証拠が乏しいと推認しました。

その上で、弁護活動としては、頻繁に接見し、取調べへの対応等を説示して被疑者を支えるのと同時に、担当検察官に対して無罪主張と(公判となった場合の)対決姿勢を伝える等いたしました。

最後までどうなるか予測が困難でしたが、最終的な刑事処分は不起訴となり、被疑者から喜びの声をいただくことができました。

 

弁護士 北野 岳志

2023年10月03日

刑事事件 その6

盗撮事件の被疑者弁護を担当しました。

 

被疑者は、逮捕・勾留まではされておらず、盗撮したこと自体は認めていたことから、被害者側との示談交渉がメインとなりました。

 

受任当初は交渉自体を拒絶されていましたが、ある程度時間が経過した段階で話をさせていただくことができ、数回のやり取りを経て示談成立となりました。

 

示談の成立と被疑者の反省等が影響したと思われますが、最終的な刑事処分は不起訴となりました。

 

弁護士 北野 岳志

2023年09月27日

交通事故事件 その4

本件では、依頼者が道路直進中、右側から追い越しをかけた相手車両が早く左にハンドルを切りすぎたため、依頼者車両右前と相手車両左側面とが接触しました。

相手は任意保険がないほか、事故状況と過失割合について、当方と大きく異なる主張をしてきたことから、示談が成立せず、訴訟提起するに至りました。

裁判では、当方にドライブレコーダー映像があり、事故状況を客観的に証明できたことが大きく貢献しました。
事故状況で双方の言い分が食い違うことはよくありますので、ドライブレコーダー映像があると本当に助かります。

判決では、当方主張に基づく事故状況が認定され、若干の過失相殺をとられてしまったものの、相手方の賠償責任が認められました。

・・・ですが、すんなりと支払ってもらえなかったため、強制執行(債権差押命令申立て)に着手することとなりました。
すると、口座を差し押さえられた相手が任意弁済に応じたため、結果として強制執行は取下げすることになりました。

紆余曲折がありましたが、最終的には一定の成果を得られた事件だったと思われます。

弁護士 北野 岳志

2023年07月27日

刑事事件 その5

窃盗事件の国選弁護を担当しました。

被告人は、累犯前科を含め前科十数犯であり、実刑による服役経験も複数あり、どのように弁護しても実刑になることが確実と言える内容でした。

弁護活動としては、出所後の出口支援に重きをおきました。

まず、被告人の元勤務先に連絡を取り、出所後の支援を承諾いただく等しました。

また、被告人とは、どうして同じことを何回も繰り返してしまうのか、次に繰り返さないためにはどうすべきかを複数回話し合い、自立訓練施設に関する情報等を伝えたりする等しました。

最終的に実刑判決にはなりましたが、これが最後の服役となることを願うばかりです。

弁護士 北野 岳志

2023年07月27日

刑事事件 その4

詐欺被疑事件(勾留)の被疑者弁護を担当しました。

否認事件であり、基本は黙秘、確実に記憶していること以外は話さない等とアドバイスしました。

担当警察官の取調べにおける言動が酷く、黙秘権侵害や人格否定と言えるレベルでした。
そこで、警察署長及び担当検事宛に抗議を入れましたが、さして効果がなかったため、県警本部及び検事正宛に抗議し、ようやく暴言が止まりました。

長期間に及ぶ否認対応は相当な負担ですが、連日接見して助言・励ましを行い、最後までがんばっていただけました。

被疑事実については否認であるものの、否認の内容が被害弁償と矛盾しない事例であったことから、ご親族の協力を得て被害弁償を行いました。
相手方が企業で、企業体として検討する時間を要したことから、勾留満了前に被害弁償できるかやきもきしましたが、何とか間に合いました。

その後、最終的に不起訴となり、勾留が解かれて身体解放されました。

弁護士 北野 岳志

2023年06月20日

刑事事件 その3

器物損壊事件の被疑者弁護を担当しました。

軽微な事件で、被疑者・被害者ともに示談に前向きであったことから、早期示談に向けて各関係者に働きかけを行いました。

本件では、被疑者親族より、示談用の金員を速やかにお預けいただけたことが非常にありがたかったです。
被疑者が勾留されている場合、周囲の方がどこまで迅速かつ効果的に動いていただけるかは、示談に大きく影響します。

本件では担当検事からも示談に向けてお力添えいただいたこともあって、1週間未満で被害弁償と示談が成立し、それら事実を担当検事に報告した結果、勾留を解いていただくことができました。

弁護士 北野 岳志

2023年05月15日

刑事事件 その2

傷害事件の被疑者弁護を担当しました。

同種前科があったことから、正式裁判となる可能性が相当あり、被害者への被害弁償・示談の必要性を感じました。

被害弁償・示談交渉を行うには、一定のお金が必要です。
お金なしに話をもっていくと、却って被害者の怒りを買う危険があります。

本件では、お金がなかなか集まらず、交渉開始がやや遅れてしまいましたが、勾留期間(延長を含めて20日間)終了間際に話がまとまり、被害者と示談することができました

示談の成果を踏まえ、担当検察官は、略式起訴としたほか、罰金額の算定において示談金相当分を考慮してくれました。

弁護士 北野 岳志

2023年04月19日

民事事件(男女問題) その1

本件では、男女問題に関する示談交渉を受任しました。

相手方の住所が不明であったことから、依頼者のSNSを介してデータ化した受任通知書を送信する手法を取りました。
弁護士といえば、内容証明郵便と連想する方も少なくありませんが、必ずしも内容証明にしなければならないわけではありません(普通郵便に比べて高額の実費がかかりますし)。
やり方は弁護士ごとに異なりますが、私についていうと、内容証明郵便をその先の裁判等で証拠として使用する予定がある場合に用いることが多いです。

さて、データ送信による受任通知の経過ですが、日を置かずに相手方から連絡があり、示談内容についてすり合わせを何度かした上で、正式な示談書取り交わしを行い、終結となりました。

本件では、双方とも相手方に対する不信が相当あると感じました。
そのため、当職のような第三者を間に挟むことなく、話を円滑に進めるのは難しかったでしょう。

弁護士 北野 岳志

2023年04月19日

交通事故事件 その3

本件の依頼者は、駐車場内にて駐車枠から出てきた相手車両にぶつけられましたが、相手方が全く異なる事故態様を主張したため、どちらの主張する事故態様が正しいのかが問題となりました。
どちらもケガはなかったため、物損のみの請求です。

いずれの車両にもドライブレコーダーはなく、防犯カメラ映像等の客観的資料もなかったことから、決め手を欠いていました。

話し合いでは折り合いがつかず、裁判となり、双方当事者の尋問手続きも実施されました。
尋問においては、相手方の供述に不自然・不合理な部分がいくつかあり、それが影響したのか、判決では、当方依頼者の供述の信用性が認められ、当方の主張する事故態様が認定されました

前述のように客観的資料が乏しく、供述の信用性で勝負するというリスクの高い案件でしたので、判決文を読んだときはホッとしました。

弁護士 北野 岳志

2023年04月06日

交通事故事件 その2

本件の依頼者は、酒気帯び運転の自動車にぶつけられ、治療を継続していたものの、途中で相手方に弁護士が就き、ほぼ同時に治療費の支払いが打ち切られました。

自費での通院を継続後、後遺障害として14級が認定されましたが、示談交渉で折り合いがつかず、依頼者の意向を踏まえて裁判となりました。

裁判では、治療の必要性(症状固定時期)、休業損害、慰謝料、後遺障害の評価など、争点は多岐にわたりました。
裁判所和解案では、後遺障害について労働能力喪失期間が10年とされ慰謝料について酒気帯びの悪質性を増額事由とされたほか、治療の必要性(症状固定時期)等は、当方の主張がほぼそのまま認定されました

不当な打ち切りに対しては、敢然と争うことで、受傷者側の主張が認められることがあります。簡単にあきらめるべきではありません。

後遺障害14級では喪失期間を5年とするのが実務の趨勢ですが、個別具体的事情を主張立証することでこれを上回る評価(10年)をいただけたのが印象的でした。

弁護士 北野 岳志

2023年04月05日