駐車場の賃貸借契約が終了したのに、自動車が置かれたままです。自動車ローンが残っているようですが、ローン会社に撤去を請求できますか?

結論:ローン会社に請求できる場合があります。

 

自動車ローンを組んでいる場合、所有権留保がなされていることがよくあります。これは、購入者がローンの支払いを怠った時に、ローン会社が自動車を引き上げて処分し、残債の支払に充てることを目的としています。車検証上では、所有者欄にローン会社、使用者欄に購入者が書かれています。

 

ローンが適切に支払われている限り、購入者は自動車を自由に管理・使用することができ、ローン会社は勝手に自動車を引き上げることはできません。つまり、このような場合は、ローン会社に撤去を請求することはできません。

 

しかし、ローンの支払いがストップし、購入者が期限の利益を喪失している場合は、ローン会社は自動車を引き上げることが可能になります。

そうなると、土地所有者・管理者は、ローン会社に対して、自動車の撤去と、不法占拠期間に応じた駐車料相当額の損害賠償を請求することができると解されています。

もっとも、損害賠償については、ローン会社が不法占拠の事実を知った時以降の分に限られますので、それ以前の損害については、元契約者・自動車使用者に請求するしかないでしょう。

 

ローンの支払が続いているか、止まっているかは、第三者からはわかりにくい事柄ですが、ローン会社に対して問い合わせる・弁護士を通じて照会を行う等して確かめることが考えられます。

 

弁護士 北野 岳志

 

2023年03月17日|不動産:不動産