相手の身体に触れなければ、不同意わいせつ罪は不成立ですか?

結論:身体接触がなくても、不同意わいせつ罪が成立することがあります。

1 不同意わいせつ罪(刑法176条)は、改正前は強制わいせつ罪と呼称されていました。

施行されたのは2023年7月13日で、まだ耳なじみのない罪名と思われます。

強制→不同意になったことによって、犯罪が成立する余地が広くなりましたが、「わいせつ」の意義については、特に変更はないと解されます。

2 「わいせつ」な行為とは、判例は、徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為としています。

もっとも、これでは、具体的に何が該当するのかわかりにくいと思われますので、以下で具体例をあげていきます。

1)陰部に手を触れる
2)女性の乳房を弄ぶ ※ 単に触れるだけでは足りないとされる可能性大
3)自己の陰部を押し当てる
4)下着の上から尻を撫でる
5)接吻

3 前述のわいせつ行為の意義には、身体接触を必須要件とはしておらず、身体接触のない非接触型わいせつ行為も成立し得ると解されます。

例えば、人前で裸にする行為・(抗拒困難な状態にした上で)裸にさせる行為があります。

裸にした状態を写真・動画撮影する行為も該当するとされます。

4 いうまでもなく、不同意わいせつ罪は重大犯罪(6月以上10年以下の拘禁刑)です。

自身が不同意わいせつ罪に問われるような状況に陥ったら、速やかに弁護士に相談することを推奨します。

弁護士 北野 岳志
2024年05月08日|刑事:刑事