土地を駐車場として貸していましたが、期間満了後も賃借し続けています。退去してもらうにはどうすべきですか?

結論:速やかに異議を述べて、退去を求める必要があります。

1 土地の賃貸借に関する法律
建物所有を目的とした土地賃貸借については、借地借家法が適用されます(同法1条等参照)。
それ以外の土地賃貸借については、その他特別法が適用される場合を除き、民法によって規律されます。

本件の目的物である駐車場は、建物所有を目的としないことから、民法の適用を受けると考えられ、以下では民法による規律を前提に説明します。

2 契約期間の終了と更新の推定
期間の定めのある土地賃貸借契約は、期間満了によって終了するのが原則ですが、民法619条は、黙示の更新を規定しています。

すなわち、期間満了後も、賃借人が当該土地の使用を継続し、賃貸人がそのことを知りながら異議を述べないときは、期間を1年とするほかは、従前と同一の条件で賃貸借契約が更新したとみなされます。

「異議」とは、継続使用を許さないという意思表示を含む行為であり、明示でも黙示でもよいとされています。
ただ、黙示の意思表示は、解釈の違いをもたらす危険があるため、明示の意思表示を行うのが安全です。
例えば、賃借人に対して、電話・手紙・メール等で、目的物の使用禁止・退去明渡を求める等があげられます。

異議を述べる時期は、期間満了後〇日以内のように明確には定まっていませんが、数か月も経過すれば、常識的に考えて時期を逸したとされるでしょう。
そうならないために、期間満了時点で返還・退去しているかどうかを確認し、していなければ、速やかに異議を述べるべきでしょう。

3 最後に
異議を述べても、賃借人が返還・退去しない場合は、退去明渡請求訴訟を検討せざるを得ません。
その場合は、強制執行も見据えて、弁護士に委任するのが妥当と考えられます。

弁護士 北野 岳志

2023年12月28日|不動産:不動産