亡くなった父には前妻との間に娘がいますが、音信不通です。遺産分割協議にて無視してよいですか?

結論:無効となるリスクがあるため、音信不通の方でも無視してはいけません。

 

離婚によって、前妻は法定相続人ではなくなりますが、前妻との娘はそうではなく、法定相続人としての地位は失われません。

法定相続人を1人でも無視して遺産分割協議を進めると、後日、有効な遺産分割協議ではないと指摘され、口座の凍結解除や土地・建物の相続登記が認められない(無効となる)可能性が高くなります。

前妻の子から、遺産分割請求をされる可能性もあります。

そのため、音信不通であろうと存命であれば、連絡をとらなければなりません。

ちなみに、前妻の娘が、亡父より先に亡くなっており、かつ、子がいた場合(※ 亡父から見ると孫)、代襲相続(民法887条2項)が生じるため、前妻の娘の子に連絡を取ることが求められます。

 

とはいえ、音信不通の親族に直接連絡を取るのは心理的抵抗があるでしょうし、感情的なトラブルにつながる懸念もあります。

そのため、弁護士等の代理人を介して対応することが推奨されます。

 

また、連絡を試みるも、どこにいるかわからない(但し、死亡したとはみなされない)場合は、不在者財産管理人を選任し、音信不通の相続人の代理人として遺産分割協議を行う必要があります。

申立は家庭裁判所に対して行いますが、専門性が高いため、弁護士への相談・委任が推奨されます。

 

弁護士 北野 岳志

 

2023年03月14日|相続:相続