離婚時の合意に基づき、子どもの親権は元妻が有し、私は養育費を支払ってきました。先日、元妻が再婚したと知りましたが、もう養育費を支払わなくてもよいのでしょうか?

結論:子どもと元妻の再婚相手との間で、養子縁組が結ばれたかどうかを確認する必要があります。養子縁組が結ばれたのであれば、基本的に従前の養育費を支払わなくてよくなると考えられます

1 離婚時における養育費支払義務の傾向
子どものいる夫婦が離婚する場合、その養育費の支払いについて取り決めがなされるのが通常です(民法766条1項2項)。
そして、ごく一般的な夫婦の場合、親権は妻が有し、夫が養育費支払義務を負うことが多いと解されます。

2 再婚による事情の変更
上記のような一般的な離婚事例において、元妻が別の男性と再婚することがあります。
この場合に注意しなければならないのは、再婚相手となる男性は、元妻の連れ子と養子縁組を結んでもいいし、結ばなくてもいいという点です。

養子縁組が結ばれた場合は、養子が養親との新たな共同生活に入ると解され、その子どもとの関係における扶養義務者は、再婚相手(養親)が元夫(実親)より先順位になると解されます。
つまり、後順位となった元夫は、再婚相手(養親)が扶養義務を果たすことができない特段の事情のない限り、従前の養育費が減額される・免除されることになります。

他方、養子縁組がされていない場合、再婚相手は養親ではなく、連れ子に対する扶養義務を負うことはありません。
もっとも、元妻との関係では婚姻費用負担義務を負います(民法752条)。
再婚相手が婚姻費用を負担することで、元妻の資力に余裕が生じるような場合は、前記婚姻費用の全額または一部を元妻の収入増加とみなし、その効果として、元夫は養育費の減額を求める余地があると解されます(民法766条3項)。

3 最後に
以上のように、再婚したから、養育費の支払いを即ストップするというのは早計です。
弁護士と相談し、周辺事情を調査の上、適切な対応をとるべきでしょう。


弁護士 北野 岳志

2023年05月27日|離婚:離婚