どうすれば保釈が認められますか?

結論:保釈保証金を用意する、身元引受人を確保する、被害者と示談する等が考えられます。もっとも、100%保釈が認められる方法はありませんし、事件の性質上、保釈許可が出づらい場合もあります。

1 保釈の意義
保釈は、保釈保証金の納付等を条件として、勾留の執行を停止し、被告人を身体拘束から暫定的に解放する制度です(刑訴法88条)。
「被告人」とあるように、保釈を請求できるのは、起訴後になります。
保釈中に逃亡等をした場合は、保釈許可が取り消され、保釈保証金の全部又は一部が没収されることとなります(刑訴法96条)。

保釈は、「権利保釈or必要的保釈(刑訴法89条)」、「職権保釈or裁量保釈(刑訴法90条)」、「義務的保釈(刑訴法91条)」の3つに分けられます。

権利保釈(必要的保釈)」とは、刑訴法89条1~6号に該当する場合を除き、保釈を許可しなければならないというものです。
除外事由として規定されているのは、重罪にあたる場合(1~3号)、罪証隠滅すると疑うに足る相当な理由がある場合(4号)、証人や関係者へ加害行為・畏怖行為をすると疑うに足る相当な理由がある場合(5号)、氏名不詳の場合(6号)です。
逃亡の恐れは除外事由に明記されていませんが、保釈の取消し事由として規定されていること(刑訴法96条1項2号)の関係から、事実上考慮されていると考えられます。

職権保釈(裁量保釈)」とは、権利保釈における除外事由に該当していたとしても、裁判所の合理的な裁量によって、保釈を許可することができるというものです。

義務的保釈」とは、勾留による拘禁が不当に長くなった場合は、権利保釈や職権保釈が認められなくても、保釈を許可しなければならないというものです。



2 保釈保証金の用意
保釈を請求するには、あらかじめ保釈保証金を準備する、または、それに相当するお金を出してくれる人物を確保しておく必要があります。

保釈保証金の額は、事件の性質によって異なりますが、100万円を下回ることはないでしょう。

保釈保証金は、貸与条件を満たすことを前提に関係団体から借りることもできますが、その場合は通常より保釈審査が厳しくなったり、金額が高くなったりする可能性があります。

3 身元引受人の確保
保釈請求をする場合は、基本的に身元引受人の誓約書(※ 逃亡等させない、出廷させることを約する書面)を同時に提出します。

身元引受人は、法的義務を負うことはないものの、普段の被告人を管理・監督できる人物が適格であるため、同居する家族が望ましいです。
そのため、被告人が一人暮らしの場合は、保釈中の住居を当該身元引受人の住居にした上で請求することもあります。

同居家族には劣りますが、普段働いている職場の上司も、一定の適格はあるでしょう。
ただし、そこまで協力してくれるケースは多くありません。

別居の友人でもなることはできますが、被告人との具体的な関係や管理・監督し得ること等を疎明することが推奨されます。

4 罪証隠滅の可能性の削減
権利保釈の除外事由としてよく用いられるのが4号の罪証隠滅であるため、罪証隠滅の被害者への弁償や示談交渉を行うことが多々あります。

被害弁償・示談交渉が奏功しなくても、審理が終結して次回判決言渡しとなれば、保釈の許可が出される可能性が高まります。

5 保釈請求が棄却されやすい事件
否認事件、共犯事件、実刑判決の見込みが高い事件等については、裁判所は比較的あっさりと罪証隠滅のおそれありとする傾向があり、被告人・弁護人の努力や成果に関わらず、保釈の許可が出づらいといえます。


弁護士 北野 岳志

2023年05月02日|刑事:刑事