犯罪をする要因・犯罪を繰り返す要因には、どんなものがありますか?

結論:様々な要因がありますが、犯罪・再犯と高い相関を示す要因としては、①犯罪・反社会的行動の履歴、②犯罪・反社会的行動と結びつく性格・認知、③犯罪・反社会的行動に親和的な家族・友人・環境が考えられます。

1 ①犯罪・反社会的行動の履歴
成人においては前科・前歴、少年においては非行・補導歴が典型です。
刑事裁判における事実認定において、前科・前歴等の類似事実があることを証拠とするのは基本的に許されません。
もっとも、以前に犯罪や反社会的行動をしてきた人の方が、それらのない人に比べて、一般に犯罪・再犯リスクが高いのは否めません。
特に、1対1の殴り合いのケンカ→武器を使用した集団暴行、店舗での商品の万引き→他人宅に侵入しての現金・貴金属窃取のように、犯罪傾向が悪化している場合は、よりリスクが顕著になっていると評価され得ると考えられます。

2 ②犯罪・反社会的行動と結びつく性格・認知
ある人が「楽してお金を得たい」「自分さえよければ他人に迷惑をかけても構わない」「人が傷つくのを見ても胸が痛むことはない」のような考え方を持っていたり、ちょっとしたことですぐキレる性分であったりした場合、そうでない人たちに比べて、犯罪(窃盗、詐欺、傷害等)に至りやすいと言えます。
なお、刑事裁判の事実認定において、このような悪性格を証拠とすることが基本的に許されないのは、①と同様です。

3 ③犯罪・反社会的行動に親和的な家族・友人・環境
「朱に交われば赤くなる」という諺がありますが、周囲が犯罪・反社会的行動をしていたり、それに抵抗感を示さなかったりした場合、その渦中にいえる当人についても、犯罪・再犯リスクが高くなります。
少し前の報道で、親が子どもに指示して万引きをさせていたというものがありましたが、最たるものと言えるでしょう。
ほかには、暴力団、暴走族、あるいはこれらに準じるような人と付き合いがあるような場合が典型です。

4 弁護(付添)活動との関係
成人の刑事事件においては、情状事実として再犯可能性を論じることになりますが、その際は②・③の要因をいかにして消滅・減少させられるかがポイントとなります。
①については、既に起きたことなので消すことはできませんが、本件犯罪事実との関係で、可能な限り善意に解釈して論じることになろうと思われます。

少年事件においては、再犯可能性は犯罪的危険性(再非行可能性)と呼称され、要保護性の中核を成すと考えられており、処遇の内容にも重大な影響を及ぼします。
そのため、成人の場合以上に、②・③の消滅・減少に向けた具体的活動、いわゆる環境整備に尽力する必要があると思われます。

弁護士 北野 岳志

2023年04月26日|刑事:刑事