観護措置(収容観護)で行われる「鑑別」とは、何ですか?
結論:各専門家が、少年に対して、様々な検査や面接・観察を行い、それらによって得られた情報を基に、少年の現状や問題点、及び、改善策(処遇)等を示す手続きです。鑑別の結果は書面にまとめられ、家庭裁判所の審判における重要な資料として取り扱われます。
1 法律上の定義
少年鑑別法16条1項は、「医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術に基づき、鑑別対象者について、その非行又は犯罪に影響を及ぼした資質上及び環境上問題となる事情を明らかにした上、その事情の改善に寄与するため、その者の処遇に資する適切な指針を示す」と定義しています。
2 鑑別の時期・期間
少年事件については、すべて家庭裁判所へ送致することが規定されています。
逮捕・勾留された少年については、家庭裁判所へ送致直後、少年鑑別所に収容する観護措置がとられるのが一般的です(少年法17条1項2号)。
この観護措置は、通常、4週間続きますが(少年法17条3項4項)、鑑別はその期間中に実施されます(少年鑑別所法17条1項1号)。
3 鑑別の流れ・内容
まず、家庭裁判所や警察からの情報をベースとした、当該少年に対する入所時調査が行われます。
次に、少年に対する面接や心理検査(集団方式)が行われます。
面接は、通常、複数回行われ、生活状況や家庭環境等の確認がなされます。
心理検査は、知能・性格・特徴等を把握するために、同時期に入所した少年らと一緒に実施されます。
少年には、健康診断や、必要に応じて専門医による診察も行われ、その結果も鑑別の資料とされます。
初回の面接や心理検査の結果を踏まえて、少年ごとに鑑別方針が設定されます。
以降の面接や心理検査は、この鑑別方針に沿って実施されることとなります。
面接や検査のほか、収容中の生活場面における行動や、作文・貼り絵・日記等の課題に対する行動の観察も行われ、その内容は鑑別の資料となります。
以上を経て、少年鑑別所の長が開催する判定会議が行われ、各担当者の意見が示された上で、保護の必要性や具体的な処遇等についての検討が行われます。
最終的に決定された少年鑑別所としての判定結果は、鑑定結果通知書という書面にまとめられ、家庭裁判所に提出されることとなります。
収容から鑑定結果通知書の提出までに要する期間は、3週間を要するのが一般的です。
この鑑定結果通知書は社会記録につづられ、審判における重要資料となります。
4 付添人の必要性
付添人は、少年鑑別所に収容中も時間制限なく少年と面会できるほか、鑑定結果通知書を閲覧し、審判における意見書作成等に役立てることができます。
鑑別が実施されるような少年事件で国選付添人が認められないような場合は、弁護士を私選付添人に立てることを検討すべきでしょう。
弁護士 北野 岳志