接見等禁止処分は、どのようにすれば解除できますか?

結論:逃亡や罪証隠滅のおそれがない事情をあげた上で、準抗告や一部解除申立てを行うことによって、処分が解かれる可能性があります

接見等禁止処分とは、勾留中の被疑者・被告人につき、弁護人以外の者との接見を禁止し、差入れ・宅下げ物(手紙等の書類含む)について検閲・授受禁止・差押えを可能とする処分です(刑事訴訟法81条、同207条1項)。
全面的な禁止のほか、個別的禁止(※ 特定の者についてのみ禁止)や期限付禁止(※ 起訴まで禁止等)もあります。

検閲は憲法21条2項で禁止されていますが、接見等禁止処分における検閲は憲法上禁止されたものではないとされています(最判昭和59・12・12)。

実務において、接見等禁止処分が付されることが多い事例として、否認事件、組織犯罪、共犯事件、反社会的勢力に属する者の事件があげられます。

勾留されると、勾留施設から出ることができないのはもちろんのこと、食事もアレルギーがある場合を除いて決まったものしか食べられません(※ 好きなものをリクエストすることは認められない)。
入浴も、決まった日時にしかできません(※ 毎日ではない)。
黙秘権こそあるものの、捜査機関の取調べには付き合わざるを得ません(※ 「もう帰ります」とは言えない)。
このように、勾留は、被疑者・被告人に重大な身体的・精神的苦痛をもたらすものですが、それに接見等禁止処分まで付されれば、その苦痛はさらに著しいものになります。
一時でも、親しい家族や知人と話をすることができれば、前記苦痛は多少なりとも和らぎますが、それすらかなわないわけです。
苦痛に耐えかねて、真意にそぐわない供述や虚偽自白をしてしまう危険もあります。

接見等禁止処分を解除するには。「準抗告」と「一部解除申立て」があります。
「準抗告」は接見等禁止処分をした原決定審の上部裁判所へ、「一部解除申立て」は原決定審へ行う点に違いがありますが、申立書面の内容については、大差はありません。
逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを、事件の個別事情に即して主張するとともに、裏付け資料を添付するというものです。

現在の勾留の運用においては、弁護人以外の接見は時間が制限されるほか、捜査機関担当者が立ち会います。
また、差入れ・宅下げ物については、接見等禁止処分の有無にかかわらず、捜査機関担当者がチェックしています。
さらに、関係証拠は逮捕と同時期に捜索・差押えされている場合がほとんどであるほか、証人を威迫する行為は罪に問われることになります(刑法105条の2)。
このように見ていくと、接見等禁止処分を付さなくても、逃亡や罪証隠滅など不可能に近いと思われますが、裁判所・裁判官は、比較的あっさり「罪証隠滅のおそれあり」と認定してしまう傾向があるように思われます。

何れにせよ、家族・知人が逮捕・勾留され、接見等禁止処分がつけられてしまったという場合は、早急に弁護士と相談し、準抗告や一部解除申立てを検討したほうがよいでしょう。

弁護士 北野 岳志

2023年04月05日|刑事:刑事