入院雑費は1日・・・円という定額しか認めてもらえないのですか?

結論:定額払いが原則となります。

 

入院雑費は、交通事故で入院した場合、入院生活に伴って支出を余儀なくされる治療費を除く諸雑費を対象とします。

自賠責保険基準では1日1100円、赤本基準では1日1500円とされ、これに入院日数を乗じた金額を請求することができます。

示談交渉では、自賠責基準か赤本基準かでもめることはあっても、支払い自体が拒否されることはほとんどありません。

裁判では、入院の必要性が問題となる場合を除き、1500円×入院日数がすんなり認定されるのが通常です。

 

損害賠償では実損てん補が通常であることから、定額払いに違和感を覚える方もいらっしゃるかと思われます。

しかし、入院雑費は、(1)日用品雑貨費、通信費用、文化費等、非常に多様であること、(2)領収証が残されていないことが少なくないこと、(3)入院しているという一事をもって前記諸費用が発生したことがある程度推認できること、(4)さほど高額でないこと等の理由から、発生費目ごとに必要性・相当性を細かく吟味するのではなく、1日・・・円といった定額払い方式を用いることが実務において浸透しています。

 

前記日額1500円を上回る入院雑費が認められないわけではありませんが、その場合は、被害者側が、金額はもちろん、当該支出の必要性・相当性を主張立証し、基準を超える額が当該交通事故と相当因果関係を有する損害であると認定してもらわなければなりません。

なお、私見では、赤本基準の定額を超えることは容易ではないように思われます。

 

弁護士 北野 岳志

2023年03月21日