少年事件では、犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年という3つの呼び方が用いられますが、どう違うのですか?
「犯罪少年」(少年法3条1項1号)とは、文字どおり、罪を犯した少年のことです。弁護士が弁護人・付添人として関わる少年の大多数はこれにあたります。
「触法少年」(少年法3条1項2号)とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年のことです。14歳未満の行為は罰せられないこと(刑法41条)との関係で、設けられています。
平成19年の少年法改正によって、重大な触法行為(殺人、強盗等)をした疑いのある少年は、原則、家庭裁判所に送致されることになっています。
「ぐ犯少年」(少年法3条1項3号)とは、ぐ犯事由とぐ犯性がある少年のことをいいます。
ぐ犯事由とは、保護者の正当な監督に服しない、正当な理由がないのに家庭に寄り付かない、犯罪性・不道徳性のある人と付き合ったり、いかがわしい場所に出入りする等の事由です。
ぐ犯性とは、性格・環境からみて将来的に犯罪を行うおそれがあることです(※ 罪を犯したわけではない)。
これら3つを併せて「非行少年」と呼称することがあります。
このように、刑罰法令で罪に問えない触法少年やぐ犯少年も対象にしているのが、少年事件の特徴といえます。その趣旨は、少年審判の目的が、罪を犯した者を非難・処罰することではなく、非行性を除去し、将来の犯罪を防ぐことにあるからと解されています。
なお、警察が補導活動の対象としているのは、前記非行少年よりも広く、少年の犯罪防止・再非行防止に大きな役割を果たしていると言えます。
弁護士 北野 岳志